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漢方「薬用植物」の話

 中国は漢方薬の本場、特に四川省は産地として知られています。今回の旅でも、臥龍パンダセンターの入り口前の露天でも霊芝(さるのこしかけ)など多種の漢方薬を山積みにして売っていました。中国でごく普通に見かける光景です。

 今回のトレッキングで、漢方薬として今でも良く使用されている「貝母:バイモ」に出会いました。特に四川省などで取れる貝母は「川貝」と言われ品質が高く、高価で取引されているという。 大川氏によれば、私たちが観察したところは、ここ10年近く採集に入った形跡がなく、7・8年ものが多く見られる。私たちを案内した馬子たちの知るところとなったので、今年秋ないし来年には地元民が採取に入り、根こそぎ採っていくだろう。とのことでした。

貝母はユリ科バイモ属 Fritillaria cirrhosa   日本では奈良地方でアミガサユリの名(由来:花被の内面に紫色の網目の紋があることから:写真右参照))で栽培されている。

  薬用部分は、球根(燐茎)を使う。貝母の作用は、鎮咳、去痰作用。咳止め、去痰薬として使われるが、特に元気のない肺燥の咳嗽に用いられる。

 バイモは神農本草経の中薬に収載されている。


     



神農本草経(しんのうほんぞうきょう)

 神農本草経は約2000年前、漢の時代に書かれた中国最古の医薬書。原本はなくなったが、5世紀末梁の陶弘景が 書き改めて「神農本草経集註」として復元したものが現在に伝わっている。365種の漢方薬を収載している。

 上薬(上品)120種、中薬(中品)120種、下薬(下品)125種に分けられている。

 上薬は、毒性がなく命を養う。 多量、長期に渡って服用出来る。不老不死を願うものは上薬を用いる。

 中薬は、上薬を助ける作用を持ち、体の抵抗力を養う。 有毒、無毒なものがあるが、量、期間とも、加減して用いる。病気の進行を阻止し、体力の回復を図るとき用いる。

 下薬は、上薬、中薬を補佐する役目を持ち、病気を治療します。毒性が強く大量、長期の服用をしてはいけない。病気の原因 を取り除き、鬱積するものを破り散らす作用があり、病気を積極的に治療するのに用いる。

 なお、365種の起源は植物だけでなく動物・鉱物にわたっている。
ダイオウ 大黄
Rheum moorcroftianum  タデ科
用途:下剤 
神農本草経収載 下薬


花期ではなく、花を見ることは出来ませんでした。
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